Groqが推論チップで7.5億ドル調達、評価額69億ドルへ―投資家構成とAI市場インパクトを徹底解説

資金調達の概要
米カリフォルニア州マウンテンビュー拠点のAI推論チップ企業 Groq(グロック)は、2025年9月17日に7億5千万ドル(約1,100億円)の新規資金調達を発表しました。今回のラウンドによりポストマネー評価額は69億ドルへと跳ね上がり、前年8月に実施したシリーズD(6億4千万ドル調達、評価額28億ドル)から1年余りで企業価値を2倍以上に拡大した計算です。ロイターによれば、調達資金はデータセンター向けLPU増設とGroqCloudの世界展開に充当され、北米・欧州・中東に続きアジア地域での新施設も検討中とされています。公式リリース
主要投資家と評価額の変化
今回ラウンドを主導したのは米テキサス州の成長投資ファンド Disruptive で、単独で約3億5千万ドルを拠出しました。ほかにも BlackRock、Neuberger Berman、Deutsche Telekom Capital Partners、米西海岸の大手ミューチュアルファンドが新規参加し、既存株主も追随しています。Jonathan Ross CEO は「インファレンスこそAI時代を規定する層」と述べ、米国製インフラとしての役割を強調しました。
- 新規リード:Disruptive(約3億5千万ドル)
- 新規参加:BlackRock/Neuberger Berman/DTCP ほか
- 既存参加:Samsung・Cisco・D1・Altimeter・1789 Capital・Infinitum
これにより評価額は69億ドルへ上昇し、わずか13か月で約2.5倍のバリュエーション拡大を達成しています。Groq
AIインフラ市場での位置づけ
AI分野では学習済みモデルを高速・低コストで実行するインファレンス需要が急増し、GPU中心から専用チップ多様化のフェーズに移行しています。GroqのLPU(Language Processing Unit)は単一命令・多データ型アーキテクチャで極低レイテンシを実現し、トークン生成効率ではNVIDIA H100を凌駕すると同社は説明します。2月にはサウジアラビアから15億ドルの契約コミットメントを獲得し、今年の売上は5億ドル規模に達する見込みです。ロイター
想定ユースケース
大規模言語モデル推論/生成AI API/動画ライブ字幕/金融リスク判定など、多彩なリアルタイム処理領域での採用が進んでいます。
今後の展望と課題
Groqが市場シェアを伸ばす鍵は、①先端プロセス(3nm)ウェハーの安定確保、②ソフトウェアエコシステム拡充、③クラウド大手との協業加速の3点です。特に②では、GroqCloudにGPT-OSS 120B/20Bなどをフル128Kコンテキストで即時推論できる環境を用意し、既に200万人超の開発者コミュニティを抱えています。電力効率とCO₂排出を抑制した“American AI Stack”の中核として、インフラ層の主導権をどこまで確立できるかが注目されます。公式発表
- ウェハー供給:台湾・韓国ファウンドリとの長期契約が急務
- SDK/OSS:PyTorch・JAX 対応拡充、量子化ツール公開
- 顧客基盤:クラウド・通信・国防向けリファレンス実装を強化