2025年定期預金金利の上昇を比較 地方銀行を含む各金融機関で続く金利上昇

2025年定期預金金利の上昇を比較 地方銀行を含む各金融機関で続く金利上昇
ライター:101LIFE 編集部

2025年に入り、日本の預金金利は大きな転換期を迎えています。特に地方銀行を含む各金融機関で、定期預金金利の上昇が顕著になっています。ここでは、金利上昇の背景、具体的な数字、各金融機関の動向、今後の見通しについて、最新のデータを交えながら詳しく解説します。

金利上昇の背景──日銀の政策変更と経済環境の変化

2025年1月、日本銀行(日銀)は長らく続けてきた超低金利政策を転換し、政策金利を0.25%から0.5%へ引き上げました。これは、1991年以来最大となる賃上げ率や物価上昇(2024年12月の消費者物価指数は前年比3.0%増)など、インフレ圧力が高まったことが主な要因です。日銀は物価安定目標を2%程度としていますが、これを超える物価上昇が続く見込みが強まったため、金融引き締めに動いたのです。

この政策金利の引き上げは、銀行の調達コスト上昇を通じて、預金金利にも波及しています。特に定期預金金利は、政策金利の動向に敏感に反応し、2024年後半から2025年春にかけて大きく上昇しました。

預金金利の推移──データで見る変化

日本銀行が公表している「預金種類別店頭表示金利の平均年利率」によれば、1年もの定期預金の平均金利は2024年3月時点で0.005%と、依然として低水準でした。しかし、2025年3月には0.212%まで急上昇しています。普通預金金利も同様に、2024年3月の0.002%から2025年3月には0.162%へと上昇しました。

年月 1年定期預金金利(%) 普通預金金利(%)
2024/03 0.005 0.002
2024/09 0.116 0.091
2025/03 0.212 0.162

このように、1年で40倍以上の上昇となっており、預金者にとっては久しぶりに「預けるメリット」を感じられる水準になりつつあります。

メガバンク・地方銀行・ネット銀行の金利比較

メガバンクの動向

三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行といったメガバンクでは、1年もの定期預金金利が0.275%に設定されています(2025年5月現在)。これは、2024年初頭の0.125%から2倍以上の上昇です。

地方銀行・信用金庫・労働金庫

地方銀行や信用金庫、労働金庫もメガバンクに追随し、金利を引き上げています。例えば、静岡県労働金庫では1年もの定期預金で0.275%、10年ものでは0.500%と、長期ほど高い金利が適用されています。

ネット銀行・キャンペーン金利

ネット銀行や一部の地方銀行では、さらに高い金利を打ち出しています。特に新規口座開設者やキャンペーン期間限定で1%を超える金利が登場しています。

銀行名 1年定期預金金利(%) 備考(キャンペーン等)
あおぞら銀行 BANK 1.25 新規口座開設者限定、8/15まで
SBJ銀行 1.20 新規口座開設者限定、7/31まで
徳島大正銀行 1.20 ネット支店開設1周年記念
auじぶん銀行 1.00 新規口座開設者限定
オリックス銀行 1.00 新規口座開設者限定
香川銀行 1.00 超金利トッピング定期
SBI新生銀行 0.80 新規口座開設者限定
静岡銀行(ネット支店) 0.80 新規口座開設者限定
ローソン銀行 0.50
トマト銀行 0.50
池田泉州銀行 0.50

(2025年5月時点、税引前年率)

このように、ネット銀行や地方銀行の一部では、メガバンクの4倍以上の金利を提示しており、預金者の資金が流入しています。

金利上昇の要因と今後の見通し

政策金利と経済情勢

金利上昇の最大の要因は、日銀の政策金利引き上げです。2025年1月の会合で0.5%に引き上げられた後、4月・5月の会合では据え置きが決定されましたが、中長期的には追加利上げの可能性も指摘されています。

また、アメリカの金融政策や円安、物価高騰など、外部環境も金利動向に影響を与えています。特にアメリカの利上げが続く場合、日本も追随せざるを得ない状況が続くでしょう。

メガバンクと地方銀行の競争

メガバンクは全国規模で預金を集める一方、地方銀行や信用金庫は地域密着型のサービスやキャンペーンで差別化を図っています。特にネット専用支店や新規口座開設者向けの高金利キャンペーンは、顧客獲得競争を激化させています。

今後の見通し

専門家の間では、今後も段階的な利上げが続く可能性が高いと見られていますが、急激な高金利時代が到来するわけではなく、緩やかな上昇が続くとの見方が一般的です。金利の上昇ペースや幅は、国内外の経済情勢やインフレ率、為替動向などに大きく左右されます。

預金者へのアドバイス──金利上昇局面での資産運用

現在の金利上昇局面では、定期的に金利動向をチェックし、自分の資金計画に合った金融機関や商品を選ぶことが重要です。特に、ネット銀行や地方銀行のキャンペーン金利は期間限定であることが多いため、タイミングを見極めて活用しましょう。

また、預金金利は税引前表示が一般的で、実際の受取利息は20.315%の源泉分離課税(復興特別所得税含む)が差し引かれます。例えば、1.0%の金利であれば、実質的な受取利息は約0.8%となりますので、税金面も考慮して資産運用を行うことが大切です。

まとめ

2025年の日本は、長らく続いた超低金利時代からの脱却が始まりつつある転換期にあります。日銀の政策金利引き上げを受け、メガバンクから地方銀行、ネット銀行に至るまで、定期預金金利が軒並み上昇しています。特にネット銀行や地方銀行のキャンペーン金利は1%を超える水準となり、預金者にとっては資産運用の選択肢が広がっています。

今後も金利動向や経済環境を注視し、自分に最適な預金先を選ぶことが、賢い資産形成への第一歩です。預金金利の変化は、家計の安定や将来設計にも直結しますので、ぜひ最新情報をこまめにチェックしてみてください。

タグ:
執筆者のプロフィール
101LIFE 編集部
101LIFE 編集部の執筆記事一覧・プロフィールへ