堀場製作所株がオアシス・マネジメントの9.9%取得で急伸!ガバナンス強化と資本政策見直しへの期待が高まる
アクティビスト「オアシス」が9.90%取得、堀場製作所に新風
堀場製作所の株式が12月8日の寄り付きからストップ高に迫る勢いで買われました。きっかけは、5日付の大量保有報告書で香港系アクティビストファンド「オアシス・マネジメント」が発行済み株式の9.90%を保有していることが判明したことです。報告書には「ポートフォリオ投資および重要提案行為」の目的が明記され、市場ではキャッシュリッチ体質の同社に対し、資本効率の改善や株主還元強化を求める動きが強まるとの観測が広がりました。Yahoo!ファイナンスでは9時01分に速報が配信され、個人投資家の注目度も一気に上昇しました。
これまでアクティビストの標的になった例が少ない分析装置大手に外資ファンドが登場したインパクトは大きく、証券関係者からは「政策保有株の売却や自己株買いなど、経営陣に踏み込んだ提案が出る可能性がある」との声が聞かれます。堀場製作所は創業家色の強い企業文化で知られますが、2015年以降は社外取締役の拡充や中期計画でのROE目標掲示などガバナンス改善を進めており、今回の動きがさらなる企業価値向上策の呼び水になるか注目されます。
株価は年初来高値を更新、出来高も急増
8日の東京市場で堀場製作所株は前日比885円高(+6.0%)の16,150円で取引を開始し、一時は16,680円まで上昇して年初来高値を更新しました。出来高は寄り付き30分で10万株を超え、通常の数倍ペース。「アクティビスト参戦→資本政策見直し期待→株価押し上げ」という典型的なシナリオが意識され、短期筋の買いも呼び込んだ格好です。ザイ・オンラインは同日朝の市況レポートで「物言う株主効果」を強調し、個人投資家の追随買いを後押ししました。
もっとも時価総額はおよそ6,400億円と中型株の上限に位置しており、浮動株は4割程度との試算もあります。オアシスの保有比率が約1割に達することで、市場に流通する株数はさらに減少し、需給タイト化が短期的な株価上昇を助長した面も否めません。
オアシス・マネジメントとは何者か
オアシス・マネジメントは2002年にセス・フィッシャー氏が香港で設立した投資ファンドで、日本市場ではフジテックや熊谷組などで積極的な経営提案を行った実績があります。2023年のゼネコン株主総会では自社株買い提案を掲げ、PBR1倍割れ企業に対し資本効率改善を迫ったことで注目を集めました。朝日新聞デジタルは「ゼネコンは標的」と評し、国内企業のガバナンス意識に一石を投じたと評価しています。
同ファンドは「長期志向」を掲げつつも、取締役の解任や中期計画の見直し要求など実行力のあるアクティビストとして知られます。今回の堀場製作所株取得についても「重要提案行為」の文言を入れている点から、株主還元策や余剰資本の活用策など具体的な要求が今後示される公算が高いと見られています。
堀場製作所のガバナンス体制と経営陣のスタンス
同社は2024年1月にグループ共通のビジョン「Our Future」を公表し、創立100周年(2053年)に向けた持続的成長と社会課題解決を掲げています。プレスリリースでは「ステークホルダーとの価値共創」をキーワードに掲げ、取締役会の実効性評価や人材ダイバーシティ推進を強化する方針を明示しました。堀場製作所公式
株主還元では2025年12月期に年間配当290円(前期比20円増)を予定し、総還元性向目標は明示していないものの、自己資本比率65%という厚い財務基盤を有しています。市場では「オアシスの提案が配当性向や自社株買い枠の明確化を促す可能性がある」との声があり、経営陣がどこまで対話を深めるかが注目されます。
今後の注目ポイント
- オアシスが提出する可能性のある株主提案の内容とタイミング(3月決算企業のため来年3月下旬の議案公告が焦点)。
- 政策保有株の削減や余剰資本の活用をめぐる経営陣の対応。
- 半導体・EV関連の需要拡大が続く中期事業計画と、資本政策の整合性。
- 社外取締役のさらなる拡充や指名報酬委員会の透明性向上などガバナンス面の深化。
- 株価がPBR2倍水準に乗せた後も成長ストーリーで評価を維持できるか。