TSIホールディングスに英アクティビストAVI台頭 大量保有・対話・売却予告が誘発した120億円自社株買いの全貌を徹底解説【解説】
英アクティビストAVI、TSIへ急接近した理由
TSIホールディングス(コード3608)の大株主欄に、英国系アクティビストファンド Asset Value Investors(AVI)の運用する「AVI Japan Opportunity Trust」が2025年2月28日現在4.77%を占め、三井・みずほなど国内金融機関を抑えて第2位に浮上しました。公開情報では2020年ごろから徐々に買い増しが続き、TSIのガバナンス改革に強い関心を示してきたとみられます。株式情報(TSI公式)
AVI側は「潤沢な余剰資産に比しROEが低い」と指摘し、経営陣と非公開で対話を重ねました。その結果、2024年4月に刷新された中計には「ROE4%」「営業利益率6%」「株主還元方針の数値化」などが明記され、AVIは「提案が多く反映された」として組入比率を10.3%まで引き上げています。AVI半期報告
AVIが提示した資本効率改善策
AVIは株主価値向上へ向け、具体的なアクションプランをTSIに提示しています。その骨子は次のとおりです。
- 自社株買い枠の大幅拡大(上限1,100万株、約120億円)取締役会決議
- 本社ビルなど遊休不動産の売却による資金創出(時価総額の約30%相当)AVIコメント
- 不採算ブランドの整理・撤退と事業ポートフォリオの最適化
- 数値目標を伴う資本コスト意識の徹底(ROIC・DOEの定量管理)
これまで慎重だったTSIの資本政策に踏み込み、市場からは「国内アパレル企業に先行モデルを示す」と評価する声も上がります。
筆頭株主AVIの“売り”シグナルとTSIの即応
2025年7月、AVIから「保有株の一部または全部を売却する意向」がTSIに伝達されました。経営陣は需給悪化を避けるため、翌24日に立会外買付取引(ToSTNeT-3)で自社株1,066万株(流通株の15.28%)を約119億9,000万円で取得し、速やかに市場インパクトを緩和しました。取得結果リリース
この機動的な対応により株価急落は回避され、取引翌日の終値は前日比3%超の上昇。TSIは「取得株の一部消却により資本効率を高める」と説明し、AVIも「対話チャネルは継続」とコメントしています。短期的な持分調整でも、中長期のガバナンス改善ストーリーは崩れていません。
市場が注視する今後のシナリオ
資本コスト意識を高めたTSIに対し、市場は次の論点を見守っています。
- 自己株買い第2弾の有無と配当性向のさらなる引き上げ
- 非中核ブランド売却・統廃合の進捗と収益改善効果
- AVIが議決権提案を行い社外取締役増員などを求める可能性
- 営業利益率6%目標達成へ向けたコスト削減と価格戦略
TSIは8月1日付で取得済み株式の一部消却を発表しており、自己資本効率の改善は数字にも表れ始めています。次期定時株主総会(2026年5月予定)での進捗報告が、AVIとの協調関係を占う試金石となりそうです。自己株取得終了リリース