カブアンドの仕組みからメリットとデメリットを考えてみる

カブアンドの仕組みからメリットとデメリットを考えてみる
ライター:関野 良和

カブアンドは、電気、ガス、モバイル通信などの生活インフラサービスを利用することで、ポイントの代わりに未公開株がもらえる日本初のサービスです。

前ZOZOの社長である前澤友作氏が代表を務める株式会社カブ&ピースが提供しています。このサービスは、日常生活の支出を通じて株式投資の機会を提供し、「国民総株主」の実現を目指しています。

この記事ではカブアンドの仕組みや還元率、メリット、そしてデメリットをまとめています。

カブアンドの仕組みについて

カブアンドの仕組みについて

カブアンドは、前澤友作氏が「目指せ、国民総株主」をテーマに掲げ立ち上げた新サービスです。 カブアンドの仕組みは、日常生活で利用するインフラサービスの支払いを通じて、未公開株を取得できるという画期的なものです。利用者は株主として企業の成長に参加し、将来的な上場による利益を期待できます。

しかし、この仕組みには注意点もあります。取得できるのは未公開株であり、上場までは売却できません。また、企業の成長や上場が保証されているわけではありません。さらに、株式の希薄化や経営リスクなども考慮する必要があります。

それでも、このサービスは資本主義の民主化や経済格差の是正を目指す新しい試みとして注目されています。利用者は消費を通じて投資の機会を得られ、企業の成長に直接貢献できるという点で、従来のポイント還元とは一線を画しています。カブアンドの今後の展開と、それが日本の経済や投資文化にもたらす影響が注目されています。

カブアンドの仕組みは3段階

カブアンドの仕組みを思いっきり単純化すると、①サービスを利用して、②株式に交換できるバウチャー(デジタルチケット)を取得、そして ③株式に交換するという内容になっています。

カブアンドの仕組み

カブアンドの仕組みについて、要点を解説していきます。

サービス利用で株引換券を獲得

カブアンドは、電気、ガス、モバイル通信などの生活インフラサービスを利用すると、利用額に応じて株引換券が発行されるシステムです。この株引換券は1枚1円の価値があり、カブ&ピース社の未公開株と交換できます。例えば、電気を月10,000円分利用すると、100枚の株引換券がもらえます。これにより、日常生活の支出が株式投資につながる新しい仕組みを提供しています。

未公開株の取得

カブアンドで取得できるのは、カブ&ピース社の未公開株です。この株式は「種類株式」と呼ばれ、一般的な株式とは異なり、議決権がありません。ただし、将来的にカブ&ピース社が上場した際には、普通株式に交換される予定です。現時点での株価は1株5円(見込額)とされており、初期の株主になれるチャンスとなっています。

株式交換のタイミング

株引換券を実際に株式と交換できるのは、2025年4月25日に第1期の株価が決定された後です。具体的には、2025年5月2日〜23日の間に交換申込みを行い、6月20日に株式が受け渡されます。つまり、サービス利用から株式取得までにはタイムラグがあります。

会員プランと還元率

カブアンドには通常会員とプラス会員(月額500円)の2種類があり、プラス会員は株引換券の権利が2倍になります。還元率はサービスによって異なり、例えば電気とガスは通常会員で1%、プラス会員で2%です。最も高い還元率はKABU&モバイルで、通常会員でも10%、プラス会員なら20%の還元率となっています。

カブアンドのメリットとデメリット、還元率は最高20%!

カブアンドの還元率

カブアンドは還元率に応じて株式会社カブ&ピースに交換できるデジタルチケットがもらえます。

「KABU& でんき」の還元率

  • 通常会員:1%
  • プラス会員:2%

「KABU& ガス」の還元率

  • 通常会員:1%
  • プラス会員:2%

「KABU& モバイル」の還元率

  • 通常会員:10%
  • プラス会員:20%

「KABU& ひかり」の還元率

  • 通常会員:5%
  • プラス会員:10%

「KABU& ウォーター」の還元率

  • 通常会員:5%
  • プラス会員:10%

「KABU& ふるさと納税」の還元率

  • 通常会員:1%
  • プラス会員:2%

カブアンドのメリット

カブアンドのメリット

カブアンドは、日常生活のサービス利用を通じて未公開株を取得できる革新的なサービスです。このサービスの最大のメリットは、一般の人々に投資機会を提供し、企業の成長に直接関与できる点にあります。

さらに、金融教育の機会や新しい経済モデルへの参加など、社会的な意義も大きいと言えます。ただし、未公開株には流動性の低さやリスクもあるため、利用者は十分な理解と慎重な判断が必要です。カブアンドは、資本主義の民主化を目指す新しい試みとして、今後の展開が注目されるサービスと言えるでしょう。

カブアンドのメリットは以下の通りです。

未公開株がもらえる

このカブアンドのメリットは、一般の人々が通常アクセスできない未公開株を入手できる点です。未公開株は将来的に価値が上がる可能性があり、投資の機会を提供するメリットがあります。

日常生活のサービス利用で株が貯まる

カブアンドは電気やガスなど、普段使うサービスを利用するだけで株がもらえるメリットがあります。これにより、特別な投資行動を取らなくても自然に資産形成ができるメリットがあります。

株主としての成長を実感できる

カブアンドを利用することで、企業の成長に直接関わることができるメリットがあります。自分の消費行動が企業の成長につながり、その恩恵を株主として受けられるメリットは大きいでしょう。

ポイントとの選択が可能

カブアンドは株だけでなく、従来のポイントも選択できるメリットがあります。これにより、利用者は自分のニーズに合わせて報酬を選べるメリットがあります。

上場時の株価上昇の可能性

カブアンドは将来的な上場時に株価が上昇する可能性があるメリットがあります。初期の株主になることで、大きな利益を得られる可能性があるというメリットは魅力的です。

投資教育の機会

株式投資に馴染みのない人にとって、実際に株を所有する経験ができるメリットがカブアンドにはあります。これは金融リテラシー向上につながる大きなメリットと言えるでしょう。

複数のサービスを一括で管理

電気、ガス、通信など複数のサービスをカブアンドで一括管理できるメリットがあります。これにより、煩雑な手続きや管理が簡素化されるメリットが得られます。

新しい経済モデルへの参加

カブアンドには「国民総株主」という新しい経済モデルに参加できるメリットがあります。これは社会変革の一端を担う可能性があり、先進的な取り組みに関われるメリットがあります。

サービス品質は変わらない

既存のサービスから切り替えても、品質や安全性は変わらないメリットがあります。これにより、リスクを最小限に抑えつつ新しいサービスを利用できるメリットがあります。

カブアンドのデメリット

カブアンドのデメリット

カブアンドは革新的なビジネスモデルを提示していますが、同時に多くのデメリットも存在します。未公開株の流動性の低さ、株価変動リスク、議決権の欠如などの投資面でのデメリットに加え、サービスの質や規制に関する不確実性も存在します。

また、情報開示の限界や他のサービスとの比較困難さは、消費者の適切な判断を妨げる可能性があります。これらのデメリットは、カブアンドの魅力的な側面と表裏一体であり、利用を検討する際には慎重な評価が必要です。新しいサービスの持つ可能性と同時に、これらのリスクを十分に理解し、自身の状況に適しているかを慎重に判断することが重要です。

カブアンドのデメリットは以下の通りです。

未公開株の流動性が低い

このカブアンドのデメリットは、カブアンドで取得した株式を簡単に売却できない点です。未公開株は取引所に上場されていないため、株主が自由に売買することができません。このデメリットにより、急に現金が必要になった場合でも、株式を換金することが困難です。

株価の変動リスク

カブアンドには株価が下落するリスクがあるというデメリットがあります。カブアンドの株価は会社の業績や市場環境によって変動する可能性があり、利用者が期待する価値を下回る可能性があります。このデメリットは、投資としての不確実性を示しています。

議決権がない

カブアンドで付与される株式には議決権がないというデメリットがあります。通常の株主が持つ会社の重要事項に対する決議権がないため、経営に対する影響力を持てません。このデメリットにより、株主としての権利が制限されています。

配当金が保証されていない

カブアンドには配当金が保証されていないというデメリットがあります。カブアンドは現時点で配当金の支払いを約束していないため、株主が定期的な収入を期待できません。このデメリットは、投資リターンの不確実性を示しています。

サービスの質が不明確

カブアンドが提供するサービスの質が不明確であるというデメリットがあります。新しいサービスであるため、電気やガスなどの品質や安定性が既存の大手企業と同等かどうか不透明です。このデメリットは、サービス利用者にとって不安要素となる可能性があります。

株式の希薄化リスク

株式の希薄化が起こるリスクがあるというデメリットがあります。カブアンドが新たな株式を発行すると、既存株主の持株比率が低下し、株式の価値が下がる可能性があります。このデメリットは、長期的な投資価値に影響を与える可能性があります。

情報開示の限界

非上場企業であるためカブアンドには情報開示に限界があるというデメリットがあります。上場企業と比べて財務情報や経営戦略などの開示が限られるため、投資判断に必要な情報が不足する可能性があります。このデメリットにより、株主が会社の状況を正確に把握することが困難になります。

規制リスク

将来的な規制変更のリスクがあるというデメリットがあります。新しいビジネスモデルであるため、法規制の変更や新たな規制の導入により、サービスの継続や株式の価値に影響が出る可能性があります。このデメリットは、長期的な事業の安定性に不安を与えます。

他のサービスとの比較が困難

カブアンドは他のサービスと単純に比較することが難しいというデメリットがあります。株式付与という独自のシステムのため、純粋な料金やサービス内容の比較が複雑になります。このデメリットにより、消費者が最適な選択をすることが困難になる可能性があります。

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執筆者のプロフィール
関野 良和
大手国内生命保険会社や保険マーケティングに精通し、保険専門のライターとして多メディアで掲載実績がある。監修業務にも携わっており、独立後101LIFEのメディア運営者として抜擢された。 金融系コンテンツの執筆も得意としている。 港区を中心にグルメ情報にも精通しており、独自の切り口でレポートを行う。
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