米インシュアテックがAI専用保険で攻勢、訴訟急増を警戒し大手損保は除外条項で足踏み―最新動向解説
米インシュアテック、新世代AI保険でスピード勝負
サンフランシスコ発のCorgiは2026年1月、AIネイティブのフルスタック保険会社として1億8,000万ドルを調達し、D&OやAI責任補償を含む包括商品を即時発行できる体制を整えたと発表しましたプレスリリース。年間売上は立ち上げから2年足らずで4,000万ドルを突破し、「保険も開発スピードに合わせて変わるべきだ」という起業家の声を裏づけています。
General Magicは見積もり時間を「3分」に短縮するAI窓口を構築し、Redberry LabsはAIエージェント専用賠償責任保険を提供しています公式サイト。いずれも「サイバー保険だけではAIモデルの失敗をカバーできない」と指摘し、以下の特化型補償を掲げています。
- 生成AIが誤情報を配信した際の第三者損害
- モデル改竄や暴走トラフィックによる業務中断
- インシデント対応費用(データ復旧・リーガルサポートなど)
訴訟急増―AI関連リスクが引き金
ISOが2025年に公表した「生成AI除外」3種のエンドースメントをきっかけに、保険業界ではAIリスクの切り分けが一気に進みました。2021〜2025年のAI関連訴訟は978%増加し、2024年からの1年間だけでも137%増えたとする調査結果が報告されていますInsurance Journal。
州規制当局も対応を加速。NAICは2023年のモデル・ブリテンで「既存の保険法はAIにも等しく適用」と明言し、2026年3月に発表したブリーフではガバナンス・テスト・第三者管理の徹底を求めましたNAIC資料。さらにペンシルベニア州は、AIを使った新規契約者審査が混乱を招いたGEICOに是正を勧告し、通知猶予を1週間延長させています州当局発表。
大手損保は「まず除外」――慎重姿勢が示す落差
大手損保各社は、不確実な法的リスクを理由にAI専用補償よりも除外条項の整備を優先しています。ISOの生成AI除外を適用する動きが広がり、バークレイはD&O・E&O向けに「絶対AI除外」を導入しました保険業界紙。
一方で、ChubbやMunich Reは決算説明会やインタビューで「訴訟件数と損害額の全体像が見えるまで慎重に引受ける」と強調。AI活用は社内オペレーション効率化に留め、外部向けリスクは再保険や共同保険枠で限定的に負担する姿勢を崩していません。結果として、新興企業が「空白市場」を機敏に埋め、大手とのコントラストが鮮明になっています。
- ISO除外の早期採用:AI由来損害を明示的に除外
- 州規制対応コスト:内部AIモデルにも文書化とテスト義務
- 再保険での絞り込み:高額賠償リスクを上限設定