会社員は国民年金と厚生年金を本当に二重払い?仕組み・例外・手続きのポイントを徹底解説/知って得する保険料の基礎知識
会社員が支払う年金保険料の基本構造
日本の公的年金制度は「二階建て」と呼ばれます。土台となるのが20歳から60歳未満の全国民が加入する国民年金(基礎年金)で、その上に会社員や公務員などが加入する厚生年金保険が乗ります。会社で働く人は自動的に両方の被保険者となり、制度上は二つに所属する点が大きな特徴です。もっとも、二制度に「別々に申し込む」わけではありません。厚生年金の適用事業所に勤めると同時に国民年金の第2号被保険者となり、両制度は一体で処理されます。ここが後述する「二重払いは原則起こらない」理由の第一歩です。
一方、自営業やフリーランスなど会社勤めをしていない人は、国民年金のみを第1号被保険者として納めます。国民年金だけの人は納付書・口座振替などで保険料を自分で支払いますが、会社員は給料から自動天引きされる点が大きく異なります。この違いを押さえると、仕組みの全体像が見えてきます。
国民年金と厚生年金の「二階建て」仕組み
1986年の制度改正で、厚生年金の加入月は自動的に国民年金の加入記録にも計上されるようになりました。会社員の保険料を国民年金と厚生年金で「重ねて請求しない」ための一元化措置であり、加入期間は双方で共有されます。日本年金機構の解説でも、厚生年金加入者は国民年金の第2号と明記されています。
これにより、老齢基礎年金(国民年金)の受給資格を計算する際には、厚生年金の被保険者期間も自動的にカウントされます。つまり会社員は「厚生年金に入っている=国民年金にも入っている」状態であり、基礎年金の保険料を別立てで納める必要はありません。公式FAQも同旨です。
給料天引きで納付する厚生年金保険料に国民年金分が含まれる
厚生年金保険料は月給と賞与を合算した標準報酬額に保険料率を掛け、被保険者と事業主が半分ずつ負担します。ここで算定される保険料の中には、国民年金に充当される「基礎年金拠出金」がすでに組み込まれており、会社員本人が国民年金分を別払いする仕組みにはなっていません。日本年金機構FAQが明示しています。
保険料は給与計算時に天引きされ、翌月末までに事業主が日本年金機構へまとめて納付します。従業員は「手取り額が減る」だけで、国民年金の納付書が届くことはありません。保険料の折半構造や納付期限は厚生年金保険のしくみページに詳細が示されています。
二重払いは原則発生しないが例外的注意点
制度上は二重払いにならないものの、手続きのタイミング次第で「二重に納めたように見える」ケースが起こり得ます。代表例は、月途中の転職で前職の厚生年金を喪失した後、次の会社の手続きが翌月になるパターンです。空白日数が生じると、その月は国民年金の第1号として納付義務が発生します。
- 月途中で離職し、同月中に再就職しなかった場合
- 勤務先が厚生年金の適用事業所でないパートに切り替えた場合
- 海外転居で厚生年金を喪失し、任意加入を選んだ場合
- 配偶者が第3号になる前の届出漏れで保険料が重複した場合
上記のように二重払いが発生したときは、後日、還付請求により国民年金保険料を取り戻せます。還付書類は日本年金機構から送付されるので、届いたら忘れずに提出しましょう。
転職・離職時に忘れがちな手続き
厚生年金の資格取得・喪失届は会社が提出しますが、退職日と届出日がずれるとあなたの保険料区分に空白が生まれます。離職票が手元に来るまでの期間は自分で国民年金に種別変更する必要があり、手続きを怠ると未納か二重納付になります。
退職から再就職まで1か月でも空く場合は、市区町村の窓口で国民年金の第1号被保険者への切り替えを申請し、健康保険の任意継続と併せて確認しましょう。就労再開後は、新しい職場が厚生年金の適用事業所かどうかをチェックし、初月から厚生年金が適用されるよう雇用契約書の所定労働時間にも注意することが大切です。