紹介状なし受診の特別料金を一部廃止へ 救急・慢性期患者を守りながら健康保険10割給付を堅持する制度改正のポイント
紹介状なし定額負担制度とは
2022年10月から、紹介状を持たずに200床以上の病院を受診すると初診7,000円以上(歯科5,000円以上)、再診3,000円以上の「特別の料金」が加算される制度が全国で実施されています。これは診療所と大病院の役割分担を進めるため、健康保険法の選定療養として位置付けられました。厚労省資料
制度導入により大病院外来の混雑は緩和された一方、慢性疾患で継続治療を受ける人や夜間救急で受診せざるを得ない人には追加負担が経済的な壁となるとの声が上がっています。
課題:救急・慢性患者への過重負担
現行制度には救急搬送患者、公費医療受給者、地域に代替診療科がない場合など免除規定があります。政令通知
しかし実務では「その他」の裁量免除が多く、医療機関間で運用がばらついています。社会保障審議会の分析では義務化後も約18%が紹介状なしで受診しており、高齢慢性期や在宅移行支援患者の負担が依然として課題です。審議会議事録
提案:特定患者への紹介状不要化
提案は、慢性疾患で定期通院する患者、がん検診の精密検査指示を受けた患者、救急外来利用者など医療必要度が高いケースで紹介状を不要とし、定額負担を免除する内容です。CBnews解析
政令が既に例外規定を置いている点を明確化し全国一律に運用することで、患者負担と窓口事務を同時に軽減し、紹介状作成に伴う診療報酬も圧縮できます。
100%現物給付は維持
見直し後も健康保険の「療養の給付(現物給付)10割給付」の原則は変わりません。被保険者は窓口で一部負担金を支払うのみで、残りは保険者が医療機関へ直接支払う仕組みが続きます。給付の仕組み
したがって紹介状不要化により自己負担が増えることはなく、特別料金が軽減される分だけ家計への影響は限定的と見込まれます。国保給付概要
財政影響と今後の行方
厚労省「医療費の見える化」によると外来医療費は2024年度約19兆円で、このうち大病院外来は2.1兆円を占めます。特別料金収入の減少は、紹介状作成料や事務コスト削減で相殺され、総医療費への影響は限定的との試算です。費用分析資料
提案は2026年秋の診療報酬改定に向けて社会保障審議会医療保険部会で議論入りする予定です。医師会や患者団体からは歓迎と慎重の双方の声があり、財源調整や診療所との連携体制が主要論点となります。