退職願を出す前に知りたい!自己都合退職で失業保険を減らさないための完全ガイド
退職願と自己都合退職の関係をまず理解しよう
「退職願」は労働者が会社に対し「できれば退職したい」という希望を伝える書面です。会社が承諾してはじめて効力が生じるため、原則として労働者側の都合による退職、すなわち「自己都合退職」に分類されます。一方で「退職届」は会社への一方的な通告で、提出後は撤回が難しい点で異なります。いずれの場合も雇用保険では自己都合扱いになりやすく、その結果、失業給付の開始時期や支給日数が不利になる恐れがあります。制度の基本は厚生労働省の雇用保険の失業等給付のあらましで確認できます。
自己都合退職になると「待機期間7日」の後にさらに2か月(令和4年10月以降に離職した場合は原則2か月)の給付制限がかかります。つまり退職日から約3か月間は失業給付が支給されません。また所定給付日数も会社都合退職より短く設定されています。例えば被保険者期間が5年以上10年未満の場合、会社都合なら120日受給できるのに対し、自己都合は90日です。詳細な日数は厚労省の「基本手当について」ページ(公式)で公開されています。
自己都合退職になると失業給付はどう変わる?
失業給付(基本手当)は「失業の状態で積極的に求職活動を行っていること」が支給要件ですが、支給開始時期と日数は離職理由によって差が大きいです。会社都合退職は待機7日のみで給付が始まり、所定給付日数も長めに設定されています。これに対し自己都合退職は2か月の給付制限があるため、貯蓄が十分でないと生活費に苦しむケースが多く見られます。しかも給付日数は最短90日からで、60歳未満の一般受給資格者では最大でも150日にとどまります。厚労省の基本手当日額等の適用資料をみると、年齢・賃金日額の上限下限も自己都合・会社都合にかかわらず定められているため、支給額そのものも想定より低くなる場合があります。
さらに自己都合退職は再就職手当の支給率でも差が生じることがあります。再就職手当は残日数が3分の1以上残って再就職した場合に支給されますが、自己都合退職で給付制限を受けている期間中に再就職しても、その間は基本手当を受け取っていないため残日数の計算が複雑になります。結果として手当額が想定より減る、あるいは支給対象にならないこともあるので注意が必要です。
退職願を出す前に必ずチェックしたいポイント
退職を申し入れる前に、まず就業規則と労働契約書を読み直し、会社都合となり得る事由がないか整理しましょう。特に「労働条件の大幅変更」「長時間労働の是正指導無視」「賃金未払」などが続く場合は、労働者側の責めによらない離職として会社都合扱いになる可能性があります。退職の理由を会社と共有する際は、曖昧な表現より客観的事実と日付を示すことが重要です。またハラスメントに起因する退職であれば、診断書や相談窓口の記録を用意すると、ハローワークでの離職理由証明に役立ちます。
- 就業規則で「退職の申し出は〇日前まで」と定めがあるか確認
- 労働時間・賃金の変更通知書など証拠資料を保管
- ハラスメント相談記録・診断書がある場合はコピーを準備
- 離職票の離職理由欄が「会社都合」か「自己都合」か下書きをもらう
- ハローワークの求職申込時に必要な書類(マイナンバーカード等)を事前準備
会社都合退職に該当するかもしれない具体例
「自己都合と言われたけれど、実は会社都合に該当した」という事例は少なくありません。厚労省通達によれば、以下のようなケースは会社都合退職(特定受給資格者)または特定理由離職者にあたる可能性があります。自分が該当するか判断に迷うときは、退職願を提出する前に労働基準監督署やハローワークに相談しましょう。
- 1か月の総労働時間が45時間超の残業が3か月連続で続き、健康被害が生じた
- 会社が賃金の一部または全部を2か月以上遅延した
- 配置転換・転勤命令に合理性がなく、子育てや介護との両立が困難になった
- セクシュアルハラスメント・パワーハラスメントが改善されず、業務継続が困難
- 事業所移転により通勤時間が往復4時間を超えるようになった
万が一自己都合になった場合のダメージを減らす方法
やむを得ず自己都合退職となった場合でも、次の対策を取ることで経済的ダメージを軽減できます。まず、離職票が届いたら離職理由欄を確認し、事実と異なればハローワークで異議申し立てを行いましょう。次に、失業給付を待つ間の生活費を確保するため、退職前に公共料金の見直しや家計の固定費削減を実行します。退職後すぐに求職活動を始め、早期に再就職が決まれば「再就職手当」が受け取れる可能性があります。給付制限中でも求職活動の実績づくりは重要で、求人情報検索や職業訓練説明会参加も実績に数えられます。自治体によっては家計相談や就労支援を無料で行う窓口もあるため、積極的に活用しましょう。
さらに、給付制限期間を短縮できる「公共職業訓練」を受講する方法もあります。受講が認められると、訓練開始月から基本手当が支給されるほか、訓練期間中は交通費・教材費の一部補助を受けられる場合があります。募集情報は各ハローワークの掲示板や都道府県職業能力開発協会のサイトで公開されていますので、離職後すぐに確認することをおすすめします。