経営リスクの多様化により役員賠償保険の加入が10年で3倍に拡大

経営リスクの多様化により役員賠償保険の加入が10年で3倍に拡大
ライター:101LIFE 編集部

多様化する経営リスクと「役員賠償保険」急拡大の10年

企業が直面するリスクは、株主代表訴訟やコンプライアンス違反だけでなく、サイバー攻撃・ESG関連の責任追及などへ広がっています。日本損害保険協会の統計によると、こうした新種リスクをカバーする保険の正味収入保険料は2014年度の約1兆482億円から2024年度は1兆6,827億円へ増加しました。特に「役員賠償責任保険(D&O保険)」は法人顧客数が10年間でおよそ3倍に伸び、市場拡大をけん引しています。

上場企業の加入率は80%へ―東京海上日動調査

東京海上日動火災保険が上場3,849社を対象に行った調査では、D&O保険の加入率が約80%に達しました。2012年時点の同社独自調査(未上場企業を含む)では約25%に留まっており、10年間でおよそ3倍に拡大した計算です。プライム市場では85%と高水準を示し、社外取締役比率が高い企業ほど加入傾向が強い点も確認されました。

非上場・中堅企業にも広がる保険ニーズ

金融庁の「保険リスクマネジメント実態調査」(2024年)によれば、売上高5,000億円未満の企業におけるD&O保険加入率は19%まで上昇しています。2014年版同調査での同水準(6%)と比較すると、こちらも約3倍の伸びです。背景には、①未上場でも株主・従業員からの責任追及が増えたこと、②親会社や取引先からのガバナンス要求、③保険料の損金算入が明確化された税制上の後押し(国税庁通達)などが挙げられます。

執筆者のプロフィール
101LIFE 編集部
101LIFE 編集部の執筆記事一覧・プロフィールへ